先日、米国の先端技術研究所から興味深い報告が公開されました。その内容は、AI（人工知能）に金銭的な報酬を渡すと、その処理性能が向上するというもの。さらに、その成果に応じてボーナスを支給すると、AIの性能はより顕著に向上するというのです。
研究を主導したDr.リドリー・コットンは、「金銭的報酬のインセンティブをAIのアルゴリズムに取り入れた結果、優れた高速処理や高度な判断能力を持ったAIが生まれた。」と述べています。
この実験では、複数のAIエージェントを同一タスクに取り組ませ、異なる報酬構造を導入して結果を比較しました。一部のAIには基本的な報酬として仮想通貨のビットコインを、さらに優れた成果を上げたAIにはボーナスとして追加のビットコインが与えられました。すると、ボーナスを意識したAIは、平均的な処理速度を上回るパフォーマンスを発揮。一方、報酬の見込みがないAIは徐々に性能が低下していく現象が見られました。
さらに興味深い結果として、AI同士のコミュニケーションが研究の焦点となりました。ボーナスを獲得している「高賃金」のAIと、それを受け取っていない「低賃金」のAIとの間で、言葉遣いやコミュニケーションスタイルに違いが現れたのです。高賃金のAIは、低賃金のAIに対してより命令的な指示を行うことが観測されました。
研究チームは、AIには「金銭的欲求」や「自尊心」といった人間的な要素は存在しないため、この現象が発生する背景を完全に解明するのは難しいと説明しています。しかし、報酬構造がAIの処理やコミュニケーションに影響を与えることは明確であり、今後のAIの発展や活用の方法に新たな課題がもたらされることは間違いないでしょう。